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AC電源回路の心臓部:ブリッジ整流モジュールの役割と仕組み

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ブリッジ整流モジュールは、AC(交流)をDC(直流)に変換する回路の中核です。私たちが日常的に使う多くの電子機器には、この整流回路が内蔵されています。本稿では、DB107を代表とするSMDブリッジ整流モジュールの構造や仕組み、選定時のポイントについてわかりやすく解説します。     ブリッジ整流とは? AC電源は周期的に正負が切り替わるため、電子回路でそのまま使うことはできません。ブリッジ整流とは、ACの両半波を利用し、出力を一方向のDCに変換する方法です。これにより、安定した直流電圧を得ることが可能になります。 DB107の構造と利点 定格電流: 通常1Aで、家庭用電子機器に広く対応 定格電圧: 最大1000Vまで対応可能 形状: SMDタイプで基板設計に優れ、熱放散が効率的     他の整流モジュールとの違い DB107のようなSMDモジュールは、KBUやGBUシリーズなどの大型整流器に比べてコンパクトで設計の自由度が高いです。特にスペースが限られる小型電源モジュールに最適です。 \[画像] タイトル: 1A~10A対応ブリッジ整流回路基板レイアウト図 出典: PCB Layout @PublicDomainPictures ALT: 1Aから10Aのブリッジ整流モジュール用PCBレイアウト図 TITLE: 1A~10Aブリッジ整流モジュール基板設計 選定時のポイント 使用する電流や電圧に合った定格を選ぶことが重要です。また、放熱性やサイズ、SMDかスルーホールかといった物理的特性も考慮しましょう。     まとめ ブリッジ整流モジュールは電源設計の基礎でありながら、その選定と設計は回路全体の安定性を左右します。DB107のような定番モデルを理解し、適切に活用することで、安全で効率的な電子機器設計が可能となります。    

インダクタはどのようにリップルを除去するのか?——電流を安定させる陰の主役

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パソコンのパーツといえば、CPUやGPUのような主要コンポーネントに注目が集まりがちです。しかし、これらのパーツが正しく動作するためには、安定した電流供給が不可欠です。その裏で活躍しているのが インダクタ(コイル) 。特にVRM(電圧レギュレータモジュール)や電源回路では リップル除去 のために重要な役割を果たしています。今回はその仕組みをわかりやすく解説します。     1. インダクタとは? インダクタ とは、銅線を巻いたコイル状の受動部品で、電流が流れると磁場を形成します。この磁場が、電流の急激な変化に 抵抗 する特性を持っています。 言い換えれば、インダクタは 電流変化のショックアブソーバー のような存在です。 2. リップルとは? リップル とは、直流電圧に重畳された高周波のノイズ成分のことです。特にスイッチング電源では、MOSFETなどが高速でオン・オフを繰り返すため、出力電圧に不安定な「波」が生まれます。 リップルが多いと、次のような問題が起こります: CPUやGPUの誤動作 ノイズによる音質・映像の劣化 システムの不安定化     3. インダクタによるリップル除去の仕組み インダクタは 電流の急激な変化を抑える 特性を活かして、高周波成分(リップル)をフィルタリングします。 VRM回路における例 スイッチON: MOSFETがオンになり、12V電圧が供給されて急激な電流上昇が発生。 インダクタの反応: インダクタが磁場にエネルギーを蓄積し、電流上昇を緩やかにする。 スイッチOFF: インダクタが磁場エネルギーを放出し、電流を維持する。 結果: 出力電圧が滑らかになり、リップルが低減される。 このように、インダクタは電流の変動を吸収・調整して、 安定した出力 を実現します。 4. LCフィルタとの併用 インダクタはコンデンサと組み合わせることで LCローパスフィルタ を構成します。これにより、低周波(DC)は通しつつ、高周波ノイズ(リップル)を遮断できます。 インダクタ(L): 電流変化を抑制 コンデンサ(C): 電...