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巻いたまま延長コードを使うとどうなる?電磁誘導のメカニズムを解説

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延長コード(リール式コード)は、キャンプ、工事現場、倉庫整理などでよく使われる便利なツールです。しかし、コードを全部引き出さずに使うと危険だという話を聞いたことはありませんか? 「熱くなるだけ」と思いがちですが、実はそこには電磁気学の法則が隠されています。巻いたままの延長コードは、まるでコイル(インダクタ)のように働き、思わぬ問題を引き起こす可能性があります。     巻いた延長コードがコイルのように作用する理由 延長コードを巻いた状態で電流を流すと、螺旋状の形状によって 磁場 が発生し、互いに干渉します。これによりコードは インダクタ(コイル) として機能し始めます。 インダクタは電流の急激な変化を妨げるため、 電圧の不安定 、 電磁干渉(EMI) 、 ノイズ などの問題が発生する可能性があります。     巻いたまま使用すると起こりうる実際の問題 過度な発熱 :電流が流れると熱が発生しますが、巻いた状態では熱がこもってしまいます。 絶縁被膜の劣化・溶解 :熱がこもることで絶縁が損傷し、ショートや火災の原因になります。 電圧降下 :コードが長くなるほど抵抗が増し、機器に届く電圧が下がります。 電磁干渉 :強い磁場が周囲の電子機器(テレビ、Wi-Fiなど)に悪影響を及ぼすことがあります。 電気の専門家が推奨する使い方 使用前にコードを必ず全て引き出す 使用機器の消費電流とリールの定格電流を確認する コードに破損や過熱の跡がないかを確認する 湿気の多い場所では防水仕様の延長コードを使用する     簡単な実験で確認してみよう リールを巻いたままと全て引き出した状態で同じ電動工具を使用し、サーモカメラや赤外線温度計で表面温度を測ってみてください。巻いたままの方が明らかに高温になります。 なぜ延長コードは巻ける構造なのか? それは収納や持ち運びの利便性のためです。 収納のための形状であって、使用時に最適な設計ではない ということを理解して使う必要があります。     まとめ:巻いた延長コードはた...

インダクタはどのようにリップルを除去するのか?——電流を安定させる陰の主役

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パソコンのパーツといえば、CPUやGPUのような主要コンポーネントに注目が集まりがちです。しかし、これらのパーツが正しく動作するためには、安定した電流供給が不可欠です。その裏で活躍しているのが インダクタ(コイル) 。特にVRM(電圧レギュレータモジュール)や電源回路では リップル除去 のために重要な役割を果たしています。今回はその仕組みをわかりやすく解説します。     1. インダクタとは? インダクタ とは、銅線を巻いたコイル状の受動部品で、電流が流れると磁場を形成します。この磁場が、電流の急激な変化に 抵抗 する特性を持っています。 言い換えれば、インダクタは 電流変化のショックアブソーバー のような存在です。 2. リップルとは? リップル とは、直流電圧に重畳された高周波のノイズ成分のことです。特にスイッチング電源では、MOSFETなどが高速でオン・オフを繰り返すため、出力電圧に不安定な「波」が生まれます。 リップルが多いと、次のような問題が起こります: CPUやGPUの誤動作 ノイズによる音質・映像の劣化 システムの不安定化     3. インダクタによるリップル除去の仕組み インダクタは 電流の急激な変化を抑える 特性を活かして、高周波成分(リップル)をフィルタリングします。 VRM回路における例 スイッチON: MOSFETがオンになり、12V電圧が供給されて急激な電流上昇が発生。 インダクタの反応: インダクタが磁場にエネルギーを蓄積し、電流上昇を緩やかにする。 スイッチOFF: インダクタが磁場エネルギーを放出し、電流を維持する。 結果: 出力電圧が滑らかになり、リップルが低減される。 このように、インダクタは電流の変動を吸収・調整して、 安定した出力 を実現します。 4. LCフィルタとの併用 インダクタはコンデンサと組み合わせることで LCローパスフィルタ を構成します。これにより、低周波(DC)は通しつつ、高周波ノイズ(リップル)を遮断できます。 インダクタ(L): 電流変化を抑制 コンデンサ(C): 電...