NTCサーミスタとは?仕組み・用途・故障の見分け方

NTC(負の温度係数)サーミスタは、電子機器の電源回路において一般的に使用される重要な部品です。AC入力ラインに直列に接続され、電源投入時の突入電流(インラッシュカレント)を抑える役割を果たします。

 

 

NTCサーミスタの構造と原理

NTCサーミスタは半導体セラミック材料で作られており、温度が上がると抵抗が下がる性質を持っています。室温では高抵抗となり、通電初期に電流を制限します。加熱されると抵抗が急激に下がり、通常通りの電流が流れるようになります。

基板に実装されたntcサーミスタ


NTCサーミスタの主な役割

  • 突入電流の抑制:整流ブリッジやコンデンサを保護
  • ソフトスタート:起動時の急激な電流を防ぎ寿命を延ばす
  • 温度保護:発熱部品の近くでの使用により安全性向上

 

 

どこに設置されているのか?

多くのスイッチング電源(SMPS)では、NTCサーミスタはAC入力端子とブリッジダイオードの間に配置されます。円盤型で黒色や緑色のものが多く、「NTC 5D-9」「10D-11」などの型番が記載されています。

故障の兆候

  • 外装の割れや焦げ:過電流で破損
  • 抵抗が∞:内部断線、電流が流れない
  • 抵抗が極端に低い:短絡し、保護機能が失われる

 

 

サーミスタのチェック方法

デジタルテスターで簡単に確認可能です:

  • 常温で公称値(5〜10Ω)に近い抵抗が出る
  • 「OL」(無限大)が表示 → 断線
  • 0.5Ω以下 → 短絡の可能性

交換時の注意点

  • 同じ抵抗値・サイズの製品を選ぶ
  • 電力が大きい場合は大きめのサーミスタを
  • ハンダ付けは素早く確実に行う

 

 

よくある質問(FAQ)

  • Q:NTCを使わなくても動作しますか?
    A:起動時に突入電流で回路が壊れるリスクがあります。
  • Q:異なるモデルを使うとどうなる?
    A:電源起動が遅れたり、十分な保護が得られない可能性があります。
  • Q:サーミスタは劣化しますか?
    A:はい。長時間使用すると性能が低下します。