スチールドアの開き方向を変更する方法

玄関のスチールドアの開き方向が生活動線に合わなかったり、家具の配置と干渉する場合、ドアの左右開き方向を変更したくなることがあります。しかし、木製の室内ドアとは異なり、スチールドアは重く、ヒンジやフレーム、ロックなどの構造が非常にしっかりしているため、簡単には変更できません。この記事では、スチールドアの開閉方向を変更するための実用的な方法、必要な構造的な確認ポイント、コストパフォーマンスの高い組み合わせについて詳しく解説します。


スチールドアの開閉方向変更を示す説明図。右開きドアと左開きドアが並んで描かれ、ヒンジと取っ手の位置が反転している様子が示されている。中央には両方向を示す矢印が配置され、背景はシンプルなベージュ色。

必ずしもドアフレーム全体を交換しなくても、状況によってはドア本体のみを交換したり、金具の位置を調整することで対応可能なケースもあります。以下で詳しくご紹介します。

 

 

 

1. 事前確認:まず確認すべきポイント

  • フレームに左右両方のヒンジ取り付けが可能か: 両側に取り付け穴があるか、または加工できるかを確認します。
  • ロックの移設が可能か: ドアのロックやストライクプレートを逆側に移すことができるか?
  • 防火認証付きのドアかどうか: 認証を受けた防火ドアの場合、向きを変更すると認証が無効になる可能性があります。

この3点を確認することで、全体交換が必要か、部分的な調整で済むか判断できます。

2. 方法①:フレーム+ドア本体の丸ごと交換

最も確実で安全な方法です。現在のドアとフレームをすべて取り外し、逆方向用に製作された新しいドアセットを取り付けます。

  • メリット: 美観と安全性を両立。新築同様の仕上がり。
  • デメリット: 費用が高く、壁面や床面にダメージが発生する可能性あり。

 

 

3. 方法②:ヒンジとロックの位置を左右反転

フレームに左右の加工が可能な場合、ドアを外してヒンジとロックを反対側に取り付け直す方法です。穴あけや補修、溶接が必要な場合もあります。

  • 作業手順: ドアを取り外し → ヒンジを取り外す → 反対側に取り付け → ロック類も反対に設置 → 元の穴を補修
  • メリット: コストが抑えられ、短時間で作業可能
  • デメリット: 強度の低下や見た目の問題が発生する可能性

4. 方法③:ドア本体だけを新規作成

フレームの状態が良好であれば、ドア本体のみを左右反転用に新たに製作し、取り付ける方法もあります。ヒンジやロックの位置がぴったり合うよう精密な寸法が必要です。

  • 適用ケース: フレームがしっかりしており、取り外す必要がない場合
  • メリット: フレームを残して綺麗に施工可能
  • デメリット: 特注製作費がかかり、取り付け精度が要求される

5. おすすめの組み合わせ

状況に応じて以下の組み合わせを推奨します。

  • 新築やリフォーム中の場合: ドアとフレームをセットで交換
  • 壁面を壊したくない場合: ドア本体のみをカスタム製作
  • 費用を抑えたい、緊急対応の場合: 金具の位置のみ変更

 

 

6. 追加で注意すべき点

  • ドアクローザーの再設置: クローザーも新しい方向に合わせて設置し直す必要あり
  • 下部の気密シール処理: 方向変更後にドア下部のゴムシールなどを再調整する必要がある
  • 壁や装飾の補修: ドアの向き変更により、既存の枠材や装飾にズレが生じる可能性

7. まとめ

スチールドアの開き方向を変更する作業は、単なる「ドアの取り付け替え」では済みません。安全性・構造・費用を総合的に考慮する必要があります。現状のドア枠や予算に応じて、最適な方法を選ぶことが重要です。多くの場合、ドア本体だけを新たに作る方法がバランスよく、おすすめです。